歌に私は泣くだらう
歌人、河野裕子さんの、亡くなるまでの家族との関わりが克明に書かれている。
河野裕子さんは乳癌の再発で亡くなった。亡くなる前日まで歌を詠み、それを家族が残して行く。そんな作業をしながら、きっと家族も、亡くなって行くであろう家族を送り出す準備をしていたのではないか、と感じた。癌とは亡くなるご本人も、そして周りの人たちもいつか来るであろうその日を覚悟し、その時間に寄り添い、送り出す。そんな病気なんだろうなぁ…。
ご主人の永田和宏さんは科学者であり歌人。子ども2人も歌人。普通の家族だったら秘めている気持ちを知る術もない中、それぞれが胸に秘めた思いを歌で表し、それを読んで家族が相手の気持ちを知る、という、すごい家族だなぁと思った。
夫婦って何?親子って何?
そして人には知られたくないだろう、色々な過去も全てさらけ出して書いたことで、読んでいる私は彼女や彼女の家族を知ることができるけれど、それをさらけ出してしまった家族はどうなんだろう…。
でもブログもそんな面があるのかもしれない。個人が発信し、個人の生活、考え方が他人の目に触れる。いつどこへ行ったのか、何を食べたのか、どんな人たちの中で暮らしているのか、ネットを通じた文章からその人が見えてくる。
そして、それがわかっていながらこうしてブログを書いている自分がいる。